インフルエンザのウィルスの進入経路はのどや気管などの上気道です。このため
とくに幼小児では腕に注射をして血液の中の抗体を作っても気道から進入、感染す
るインフルエンザの予防効果は少ないのではという意見もあります。
1998/1999シーズンにインフルエンザ脳症を発症した217名中179名(82%)
が0〜5歳の小児であり、58名(27%)が死亡しています。この217名の中には、
インフルエンザワクチンを接種していた方はいませんでした。一方、1999/2000
シーズンに発生したインフルエンザ脳症の症例109名中3名(3%)が、インフル
エンザワクチンを接種していた事がわかっています。ある程度ワクチンの効果はあ
ったとも考えられますが1998年から2000年にかけての幼小児に対する予防接種の
数はここ2、3年より少ないと考えられるので全面的に効果があったとは言い切れま
せん。今後更なる研究・調査が急務で、幼小児のワクチンによるインフルエンザ脳
症の予防効果についてはまだ結論が出ていないのが現状です。しかし、、
乳幼児のインフルエンザによる脳炎、脳症のことを考えると最近は予防接種を
すすめる医師が多くなっています。当院では乳児期(1才未満)の接種を行っていま
すが家族の方によく説明をしてご理解をしていただいた上での接種を行います。